2011年8月22日、名古屋市西区の愛知県職業訓練会館にて「熟練プロ和裁士によるワンポイント講習会」が、(社)日本和裁士会中部ブロック主催により行われました。講師には牧野顧問、朝倉副支部長、牧野副支部長、福井理事が務め、高校などの被服に携わる教諭5
名が受講しました。
始めに朝倉副支部長が「震災後、日本人の考え方が変わってきたように感じ、節約したり物を大切にするといった考え方が定着しつつあります。和裁は、布を大切にする技術が多くあります。ぜひ、若い方達に裁縫を通じて物を大切にする心を伝えてください」と挨拶しました。その後、牧野顧問が、「浴衣の見積もり方」「寸法について」などを説明し、「辻褄を合わせる」といった和服にまつわる慣用句や、浴衣から「おしめ」そして雑巾にしてボロボロになってからて布を捨てる習慣があったことなども織り交ぜ、講義しました。
その後、朝倉副支部長が実技講習を行いました。指抜き作りから始まり「ゆかたの製作NO.1女子用」のイラストを使って運針の動作を一つずつ解説。半返し縫いなど基礎となる縫い方も説明し、受講者らは針の動かし方、布の持ち方を確認しながら新モスの布を縫いました。
午後からは、浴衣の額縁、袖作り、バチ衿の衿付け、衿先の縫い方、衿の納め方の部分縫いを行い、縫い代を畳んだり伸ばしたりしてきれいに仕上げるコツも説明しました。講師らによる実演中には、学校の授業で教えている寸法や作り方の違いや、待ち針の打ち方など疑問点を投げかけ、少人数ならでわのきめ細かい講習会となりました。その後、アンケートを行い、終了しました。なお、アンケート内容は以下の通りです。(抜粋)
◆標の正しい付け方や、折り方、すくい留めなど、手早く縫うコツを知ることができました。手縫いのコツを生徒にも教えてゆきたいと思います。◆丸み、褄先、衿先などきれいにできる方法を教えていただけて良かったです。早くくける方法は、運針が苦手なので生徒達に教えることができるか不安ですが、やってみようと思います。◆二学期から初めて生徒に浴衣の製作を教えます。今回、講習会に参加させていただき、和服の基本的な知識や実技を学ぶことができ、本当に良かったです。今は背縫や袖作りなどミシン縫いで教えていますが、着物が本来持っている無駄のない作り方についても伝えてゆきたいと思いました。運針=並縫いと思っていましたが、今日初めて針が運ばれてゆくところを見て、運針の意味がわかりました。もっと練習をして生徒にも技術が身につくように指導ができればと思います。