令和元年10月16日(水)名古屋市中村区名駅「ウィンクあいち」にて、第49回全国和裁研修会が行われ、全国から174名の参加者が集いました。

研修会スタート時2
清水長野県支部長による挨拶と台風19号の被害にあわれた方へのお見舞いの言葉の後、手島和裁士会会長が開会の挨拶と共に、日本和裁新聞の発行月、事務所移転などについても述べられました。
研修会は四つの内容に沿って進められました。また、会場の外には愛知県支部石田さんの製作による三分の一サイズの打掛・掛下・掛下帯・襦袢の婚礼衣装一式が展示されました。

◆男物 体型による寸法の決め方
手島会長と、京都支部の会員の方2名にステージに上がって頂き、着物を着るところからスタートし、袴・羽織と順を追って着付けをし、その都度会場から質問を募り、ご本人或いは牧野顧問がそれに答えました。

男物体型による寸法の決め方1

3名のそれぞれの体型上の特徴から、どのような寸法・どのような着付けが良いのかを考察しました。

男物体型による寸法の決め方3

体の大きな方は二反使いの袴を持参され、河合副理事長が着崩れしにくいポイントを説明しながら実際に着付けました。会場には素材の異なる3枚の腰板や箱襠の雛形が展示され、体の大きな方の仕立て方のヒントが多く示された研修となりました。

 

◆氷上姉子神社 例祭「えぇ猩々
衣裳製作と着付け
牧野顧問が氷上姉子神社の由来やヤマトタケルノミコトの軍行を解説するそのステージ上で、河合副理事長と牧野理事が猩々の着付けを披露しました。

氷上姉子神社1

氷上姉子神社2
ヤマトタケルノミコトの妃ミヤズヒメノミコトを祀る氷上姉子神社は、熱田神宮の元宮で、その成り立ちはヤマトタケルノミコトの東征に端を発します。多くの伝承について解説がされる中、「えぇ猩々」(悪さをする猩々に対して「良い猩々」が訛ったもの)の着付けが着々と進み、西陣織の豪華な小袖と側次(そばつぎ)・大口袴を着けた猩々の中に牧野理事が入って歩く姿には多くの方がスマホを向け写真を撮っていました。

氷上姉子神社3

氷上姉子神社4

 

◆仕立て加工料現況調査と今後の方向
和裁士会副会長大森氏の「加工料を上げよう!」の発声から始まり、事前に実施したアンケートの結果を西岡理事長が説明、解説しました。

仕立て加工料
手島会長、大森副会長から今が加工料を上げるその時であり、最低賃金の確保・原材料費の高騰など、価格交渉に臨む際に加工料アップの理由を揃えておかなくてはならない。撥水加工などの一次加工の業界、或いはレンタル業界などが仕立て加工に進出し、加工料を引き下げている中で我々が加工料を上げようとするなら、技術力の底上げも必須である…など、加工料アップの為の具体的な取り組み方について説明がありました。実際に呉服店に交渉し、すんなりと15%加工料を上げられた例もあり、今このタイミングを逃すべきでないと強く感じる研修内容でした。

◆無形文化財 故 小見外次郎師
小見氏の胸像がステージ上に置かれ、プロジェクターに作品が展示される中、牧野顧問と東京支部森岡正博氏により、その功績が語られました。

 小見外次郎1
小見氏の概略が述べられた後、かつて愛知県で三週間に及ぶ氏を交えた合宿の後、全国和裁技術コンクールで優勝者を輩出するに至った事など、当地にまつわるエピソードを知ることが出来ました。

小見外次郎2

次回研修会は山口県開催が決まっており、中国ブロック長増田忠氏の案内の後、大森副会長の閉会の挨拶で研修会は締められました。

 

◆懇親会では台風19号被災者へ募金が行われました。
その後、研修会場からほど近い中華料理店「百楽」にて懇親会が開かれました。

懇親会
117名の参加者があり、いくつかの余興も交え、リラックスした雰囲気の中お開きとなりました。会場では台風19号の被災者の為の募金が行われ、多くの皆様の善意を頂戴いたしました。集まった義援金は、日本赤十字社を通じて、被災地の方々の為に使われます。