HANA027

桜の花が咲き乱れています。きものの文様にも多く、桜が使われていますね。そんな文様を紹介します。(平成26年3月発行 組合だより246号より)

 

syouchikubai吉祥文様
四季のはっきりした日本では、古くから四季に咲く花・草木・植物などを着物や帯の文様に取り入れてきました。
まずは「松・竹・梅」。三種の植物は中国では「歳寒三友」として尊ばれてきました。「論語」の「歳寒の松柏」から転じたものです。寒さの中でも緑を失わない松。真っ直ぐに伸びる竹。逆境にあっても節操を守ることの例えとなっています。梅は早春に咲き皆を喜ばせます。これが日本に伝わり、日本では松竹梅の組み合わせは、吉祥文様の代表になっています。
sakura
その後に続くのは「桜」です。梅は中国が原産の花木ですが桜は日本を代表する花木で山野に自生しています。庭園に栽培されるようになったのは平安時代です。貴族は梅に加え桜を愛するようになり、文学や美術に表されました。また、江戸時代の寛永年間には、品種改良が盛んに行われました。それまでは山桜で、文様もそれを意匠化したものでしたが、江戸時代には色々な桜の文様が出来ました。「桜川」「桜楓」「花筏」「小桜」などで、組み合わせ文様や桜の名所が文様化されました。
桜文(さくらもん)
さくらの「さ」は稲、「くら」は神の宿る座を意味し、豊作を願って花見の宴を催し、桜文様が描かれるという説があります。写実的に描かれた文様をのぞき意匠化された桜は季節を問わず身に付けることが出来ます。
近年、桜を正月の生け花にすることがありますが、正月は「梅の花」とのイメージを持っている方が多いと思います。二月の上旬に垂れ桜の写実的文様の帯を着用している人に会いました。少し違和感がありました。皆さまはどうでしょうか?